エアコンの室外機が1台なのに室内機が複数台ついている場合があります。
室内機の能力がバラバラで、各室内機を別々に運転・停止できるエアコンを「マルチエアコン」といいます。
それに対し、各室内機の能力が同じで、リモコン1台で室内機を同時にしか運転・停止できないエアコンを「同時ツイン(2台)」「同時トリプル(3台)」「同時フォー(4台)」といいます。
今回は「同時ツイン」の配線の取り回し方法を紹介します。
信号線の考え方
同時ツインのエアコンの信号線は、基本的に3本線(3芯式)です。
ルームエアコンや1対1のエアコンと同じです。
主にVA線が使用されます。
室外機のみ電源が必要で、室内機には電源線が必要ありません。
三線の 1・2 で室外機から電源が送られます。
そして 2・3 で信号のやりとりが行われます。
冷媒配管は「分岐管」で分けられてそれぞれの室内機と繋がってます。
信号線は冷媒配管のように途中で分岐せず、室内機を1台ずつワタっていきます。
冷媒配管と同じように、信号線を途中で分けるのはNGです!
「ワゴ」を使って分岐するのはもってのほかです。
なぜ信号線の分岐はなぜいけないの?
信号線を、室内機の端子台で分けるのも、途中で分けるのも理屈は同じだと考えると思います。
実は同時に動く室内機でも、エアコン内部ではそれぞれ「1号機」「2号機」と振り分けられています。
信号線のワタっていく順番で「1号機」「2号機」と自動で振り分けられます。
なので、信号線の途中で配線をパラで分けてしまうと、各室内機の「号機」の判断ができずに、エラーが出てしまいます。
※三菱電機のエアコンのエラーは最初の一回だけで「電源リセット後」には普通に運転できます。
リモコンをどの室内機に繋ぐか?
リモコンはどの室内機に繋いでもOKです。
工事のしやすい室内機に繋ぎましょう。
繋ぐのは1台だけです。
3線の信号線は、室内機・室外機の番号を同じにしないといけませんが、リモコン線は極性がありません。
※信号線の順番は「黒・白・赤」「赤・白・黒」と元請けや会社ごとに異なります。
必ず、確認して接続しましょう!
信号線の接続
室内機の端子台に接続します。
端子台にVA線専用の「差込口」がある場合があります。
VA線はここに差し込みます。
信号線がワタっていく室内機はここに2本ずつ線が入ります。
実際は逆さまで作業するので緩めた端子台のビスをドライバーで押してあげないと線は入りません。
VA線を一本だけ端子台の押さえ板側に入れるのはNGです。
押さえ板が斜めになって、ビスを締め付けると端子台が割れます。
専用の差込口に差込みましょう。
のの字曲げ・同じ太さの2本挿しはOKです。
被覆を挟んでいないかは必ずチェックしましょう!
リモコン線
リモコン線は専用の端子台に接続します。
これも被覆を挟んでないか確認して下さい。
リモコン線は細いので被覆をよく挟みがちです。
エアコンの入れ替えで、信号線が2本しかない時は?
昔のエアコンは室内電源が必要で、信号線が2本しかない場合があります。
リニューアルで新しく信号線を室外機からひっぱてくるのが大変なことも多々あります。
そんな時には、メーカーで異なりますが、信号線が2線でも更新が可能なキットがあります。
室内電源が必要となりますが、2線で更新できます。(日立はデフォルトで2線でも3線でも可能ですね!)
理屈が解れば、キットなしでもどうにでもなりますが、「改造」になりメーカー保証が受けられなくなります。修理も断られます。
純正品を使用して下さい。
室内機だけに電源を取っても動くには動きますが、必ず「エラー」が出ます。
最悪、火災になるので正しく工事して下さい。
まとめ
同時ツインの信号線は、室内機をワタっていかないといけません。
同時トリプル・同時フォーも同じ理屈です
リモコンはどこでも構いません。
マルチエアコンは、室内機それぞれアナログで「号機」設定できるので、信号線を途中分岐(パラで分ける)しても大丈夫です。
試運転の時の、結線のエラーは調べるのに非常に手間です。
信号線の順番・被覆を挟んでないかをしっかり確認しながら作業していきましょう!
ありがとうございました。