みんな大好き!ポンプダウン!
「ポンプダウン」の仕組みを知り応用することで、少し仕事が捗るかも?
今回はそんなお話です。
ムームエアコンのポンプダウン
まずは「ルームエアコンのポンプダウン」をしてみましょう!
まずは、チェックジョイントに圧力計を接続して「冷房」でエアコンを運転します。
液管(細い配管)のバルブを閉めます。
ルームエアコンはほぼ六角レンチ(4mm)です。
圧力がグングン下がっていきます。
圧力が「0MPa」まで下がったら、ガス管(太い配管)のバルブを閉めます。
エアコンの運転を停止します。
これで終了!簡単でしょ!
これで「液管」「ガス管」のフレアを外してもフロンガスが出ることがありません。
って、そもそも「ポンプダウン」って何なんでしょう?
ポンプダウンとは?
「ポンプダウン」とはエアコンの「液バルブ」「ガスバルブ」を操作して、「圧縮機(コンプレッサー)」の力で「フロンガス」を「室外機(室内機)」に移行させる操作のことをいいます。
エアコンには必ず「圧縮機(コンプレッサー)」があります。
圧縮機は車で言う「エンジン」であり、生き物の「心臓」にあたる部品です。
この「圧縮機」で「ガスのフロンガス」を「圧縮」して「液のフロンガス」にします。
ここからエアコンの物語が生まれます。
気体のフロンを吸い込んで(吸入)、液体のフロンを吐き出します(吐出)。
この圧力差でフロンガスは循環します。
冷凍サイクル
圧縮機で「高温・高圧」になったフロンガスは「凝縮器」で冷やされ(室外機)、「蒸発器」で液体から気体に蒸発して(室内機)、圧縮機に戻ります。
これを「冷凍サイクル」といいます。
「凝縮器」と「蒸発器」の仕事を反対に切り替えてやると(4方弁)暖房になります。
「冷房でポンプダウン」を行うと
・室内機と室外機を繋ぐ「液バルブ」が閉まると、「圧縮機」に吸い込まれたフロンは液になって吐き出されても「液バルブ」が閉まっているので「室内機側」に行くことはできません。
・「液バルブ」から先の配管・蒸発器のフロンガスは「圧縮機」に吸い込まれるので、「室内機側」の圧力は下がっていきます。
・「室内機側」の圧力が「0」になったら「ガスバルブ」を閉める。
・そうすると「室内機側」のフロンガスを全て「室外機」に移行して閉じ込めることができる。
※注意 厳密には「真空引き」後にフロンガスを解放するので 真空→大気圧分のフロンガスは残ります。
でも、全く問題ないです。小島よしおです。
暖房ポンプダウン
では、エアコンを暖房運転にして、同じように「液バルブ」を閉めて「ポンプダウン」するとどうなるでしょう?
答え
大部分のフロンガスが室内機に移行します。
移設なんかでこれをやっちゃうと、フレアを外した瞬間に大惨事になります。
しかし、暖房ポンプダウンは「マルチエアコン」のようなフロンガス量の多い機械の修理には非常に使える技になります。
フロンガスの回収量を大幅に減らすことができます。
(圧縮機の加熱でフロンガスが焼けている(茶色く変色して、焦げ臭くなる)場合はフロンガスの全量交換が必要になります。)
業務用エアコンのポンプダウン
ルームエアコンだけじゃなく、どんなエアコンでもポンプダウンは可能です。
基本は全て同じです。
マルチエアコンの「バルブ」はルームエアコンのように「6角レンチ」で操作するももあれば
「ボールコック」になっているものもあります。
「一般的なボールコック」は、「コックハンドル」の付く部分が
・配管と並行で「開」
・配管と垂直で「閉」
になりますが、空調機の場合逆になります。
この状態で「開」になります。
※ 設置時に「フロンガスの追加充填」をしているエアコンは、全てのフロンガスを室外機に移行することができない場合があります。
※ 「低圧スイッチ」などの保護装置で「0MPa」までポンプダウンできないこともあります。
まとめ
とても簡単な「ポンプダウン」も「冷凍サイクル」を理解して応用することで、いろいろな作業に使えます。
寒くて冷房運転がかからない場合は「強制冷房」または「冷房試運転」で行います。
室内機の「吸い込み温度センサー」を素手で握るのもアリです。
ポンプダウン後は必ず「圧力計」などを使い、配管の残圧を確認してからフレアを外しましょう。
圧力が残っているとフロンガスと一緒に、クリーム状の「油」が出てきて掃除に難儀します。
ポンプダウンするときは「液バルブ」を閉める前に数分間冷房運転をすると配管に油が残りにくくなり、各メーカーも推奨しています。
ありがとうございました。