前回は「同時ツインエアコン」の配線を紹介しました。
今回は「マルチエアコン」の配線方法を紹介します。
マルチエアコンとは?
マルチエアコンとは、一つの冷媒回路に複数の室内機があり、それぞれの室内機ごとに運転・停止ができるエアコンです。
「同時ツイン」のエアコンは室内機の能力が同じでしたが、「マルチエアコン」はそれぞれバラバラの能力の室内機が設置できます。
室外機の能力の範囲で、自由に室内機を設定できます。
基本的に各室内機ごとに運転できますが、この部屋は「冷房」この部屋は「暖房」といった使い方はできません。早い者勝ちになります。
※冷暖同時機能付きのエアコンが必要になります。
「ツイン」と「マルチ」の配線の違い
「ツイン」のエアコンの信号線は「3線式」で、室外機から電源が送られていました。
「マルチ」のエアコンでは信号線が「2線式」になり、室内機に「室内電源」が別に必要になります。
そして「ツイン」には無かった「アドレス設定」をしてあげなくてはいけません。
信号線の考え方
基本的に、「ツインエアコン」と同じように、室内機をワタっていきます。
それぞれの「室内機」・「室外機」にアドレスNoが設定されるので、全ての機械に信号線が繋がっていればOKです。
問題がないとはいえ、将来入れ替え時や修理時に分かり難かったり、何より工事の質を問われるので、新設時はきちんと信号線を渡していきましょう。
信号線の接続
信号線には「シールド線」が使われます。
信号線の周りを金属の網や箔で覆い、ノイズをカットします。
しかしノイズをカットするには正しく接続しなくてはいけません。
シールド線の接続方法
エレキギター等の「シールド線」を自作したことのある人は、シールドの取り方にいろいろなやり方があるのを知っていると思います。
エアコンのメーカー推奨は「片側をアースに落とす」方法です。
なのでここでは片側をアースに落とす方法を紹介します。
エアコンのシールド線は長い距離を配線することになり、シールドの両方をアースに落とすと逆に電波を拾ってしまってノイズがのりやすくなります。
シールド線の片側のシールドだけをアースに落とします。
しかし、同じ線の片側を処理するのは大変です。
機械単位で考えてシールドしていくと効率的になります。
シールド線の接続は A・B・シールド の端子にそれぞれ接続します。
「シールド」の端子台はアースに繋がってます。
シールド部分はきちんとテープかチューブで端末処理しましょう。
室内機電源
室内機電源は、単相200Vになります。
基本的には、一つのブレーカーからの電源線を各室内機にワタしていきます。
途中でパラで分岐していても問題ありません。
信号線ではNGだった「ワゴ」の使用もOKです。
むしろ「ワゴ」はこの時にメリットを発揮します。
正しい使い方です。
アドレス設定
マルチエアコンでは、各「室内機」「室外機」に番号でアドレスを振り分けます。
各機械の基盤の「アドレススイッチ」で番号をふっていきます。
三菱電機では「室内機」が1〜50、「室外機」が51〜99になります
「自動アドレス振り分け」も可能です。
その時は全ての機械のアドレスが「0」になってなくてはいけません。
一つでもアドレスが設定してあるとエラーになります。
修理・更新時のためにもアドレスが設定してあると便利です。
リモコン線の接続
三菱電機のマルチエアコンは「リモコン」の接続に注意です。
「一対一のエアコン」や「同時ツインなどのエアコン」のリモコンは「MAリモコン」です。
マルチエアコンには「MEリモコン」が登場します。
AとEの違いですが、接続方法が全く違うので必ず確認しましょう!
MAリモコン
MAリモコンは室内機の「MAリモコン」の端子台(1・2)にリモコン線を繋ぎます。
接続した室内機だけがMAリモコンで操作できます。
1号機・2号機・3号機と3台を一つの「MAリモコン」で操作するには1〜3号機にリモコン線をワタします。
リモコン線が繋がっている室内機が同時に操作できるようになります。
1号機と5号機を同時に操作するのも、リモコン線をそう渡せば操作できます。
MEリモコン
MEリモコンのリモコン線は「室外機と室内機の信号線の端子台(A・B)」に接続します。
MEリモコンは「リモコン」自体にアドレスを設定するので信号線のどこに繋いでも構いません。
二つの図ではどちらも同じように操作ができます。
「MEリモコン」ではリモコン自体のアドレスから「次の番号のMEリモコンのアドレス」の室内機を操作できます。
上の図ではどちらも、「No.1のMEリモコンでNo.1・No.2・No.3の室内機」「No.4のMEリモコンでNo.4・No.5の室内機」を同時に操作できます。
一本のリモコン線から「リモコンの増設」も簡単にできます。
No.1とNo.5の室内機を同時に操作することもリモコンの設定で可能です。
もちろん室外機に接続しても操作可能です。
まとめ
マルチエアコンでは信号線は「2線」になり、別途「室内機電源」が必要になります。
もし間違えて「信号線の端子台」に「室内機電源の線」を繋いでしまうと、基盤が破壊されます。
しかも、ワタっている全ての基盤が確実に壊れます。
配線のミス・アドレスの間違いは判明に時間がかかります。
焦らずに、間違わないように結線していきましょう!
ありがとうございました。