エアコンの施工で、一番大切なのは実は「ドレン配管」です。
ドレン配管は環境にももちろん左右されますが、きちんと施工しないと後からトラブルになります。
今回はそんなドレン配管の考え方・施工法を紹介します。
ドレン配管とは?
エアコンの冷房・ドライを運転すると「結露水」が発生します。
結露水を排水してあげる配管を「ドレン管」といいます。
暖房でも「加湿器」が付いている場合も排水が必要ですし、室外機からも水が出ます。
主にVP25・VP20の塩ビ管が使われます。
ドレン配管の考え方
1/100以上の下り勾配で、1.5m~2m以内に支持金具等で支持してあげます。
1/100勾配とは、100横に進むと1下がる勾配のことです。
100cm横に進むと1cm下がります。
支持金具は、施工場所の天井が暑くなる場合は塩ビ管がダレてくる可能性が高いので、状況に応じて距離を縮めます。
ドレンアップメカ内臓の室内機のドレン配管
ドレンアップメカ内臓の室内機のドレン配管は、室内機から出てすぐのところで「ドレン配管」を一旦振り上げます。
ドレンアップメカ内臓の室内機は、ドレンポンプで圧力をかけて排水します。
室内機のドレン配管は、複数の室内機に繋がっていることがほとんどです。
ドレン管を振り上げていないと、圧力のかかった排水が逆流することがあります。
なので、一旦振り上げて逆流を防ぎます。
振り上げれる高さは、メーカー・機種で異なります。
据付説明書で確認して下さい。
ドレン配管の施工法
ドレン配管は主に塩ビ管が使われます。(鉄管はサビで将来詰まるリスクが高いです)
室内機のドレン配管はVP25・VP20が多いです。
メインのドレン配管は、室内機の数に応じて太くしていきます。
入れ替え時は既存の配管に接続します。
塩ビ管の施工には
塩ビノリ(接着剤)・塩ビカッター・水平器が必要です。
もちろん、ノコギリでも塩ビ管は切断できますが「塩ビカッター」があると時間の節約になります。
塩ビのりは小型の物があると携帯・施工に重宝します。
少なくなれば継ぎ足して使います。
後は断熱材を巻くのにカッターナイフ、粘着テープが必要です。
支持金具
支持金具には確実に固定・支持できる物を使用します。
「釣りバンド」を使用するのもいいのですが、「ワンタッチ金具」を使えば簡単に早く施工できます。
既存の寸切りボルトにワンタッチで固定していけます。
(写真はSRS40)
配管用のワンタッチ金具もあります。
まずは支持金具を取り付けていき、塩ビ配管を「継手」を使い接着していきます。
水平器で1 /100・2・100勾配の出し方
水平器があれば 1/100勾配・2/100勾配は簡単に出せます。
水平器の2本の線が左右にある場合は、
「内側の線に泡の端っこが合っている時が1/100勾配」
「外側の線に泡の端っこが合っている時が2/100勾配」
です。簡単でしょ?
水平器とスケールを上手に使って勾配を出していきます。
室内機のドレン配管
ほとんどの室内機には「フレキ」が付属されています。
室内機のドレン出口の部品は、塩ビ管よりも割れやすいため、振動や衝撃を吸収するためにも必ず使用して下さい。
ここを塩ビカッターで切断したことがあれば知っていると思いますが、硬いけど簡単に割れます。
ドレン側がすぐ壁や障害物があってフレキが付かない時は、いきなり「エルボ」で立ち上げてからフレキを使っても大丈夫です。
圧力がかかるので、可能な限り「塩ビのり」で接着しましょう。
ドレンの位置の出し方
室内機を吊り込んだ後から、狭い隙間でドレン配管を施工するのは至難の技です。
なので室内機を吊り込む前にドレン配管を仕込んでおかなくてはいけません。
最初につまづく箇所ですが、覚えれば簡単です。
基準は吊りボルトです。
まず、実際の室内機の吊り金具からの「高さ」「左右」「奥行き」を測ります。
そして、天井の「釣りボルトの位置の印(スミ)」から「左右」「奥行き」を測り印を入れます。
「吊り金具」の位置からの「高さ」を「吊りボルト」に印を入れます。
まずは接着せずに「仮組み」していきます。
仮組みできたら調整できるパーツを残しながら少しずつ接着していきます。
全て接着できたら、外して広く明るいところで一気に断熱材を巻くと早いです。
この時に、接着し忘れがないか必ず確認しましょう!
接着し忘れてもすぐには漏れません。しかし、必ず漏れる時がきます。
印どおりに仕込めたら準備完了!
ドキドキしながら室内機を吊ります。
メーカーによっては「バンドで固定」する場合がありますが、可能な限り「塩ビノリ」で接着して下さい。
接着した場合はバンドは不要です。
フレキの位置がぴったりじゃない場合は、塩ビのりを塗って差し込んだ後、しばらく手で固定しておいて下さい。
「塩ビ+塩ビ」の時より「塩ビ+フレキ」の方が接着剤の硬化に時間がかかります。
通水テスト
工事後には必ず「通水テスト」をします。
「排水できた」ことだけじゃなく「水漏れがない」ことが重要です。
水漏れの検査です。
まとめ
ドレン配管で大事なことは「勾配」と「断熱」です。
水は下から上には流れません。
流すには「勾配」が要ります。
暑い天井の中を「冷たいドレン水」が流れていきます。
一箇所でも断熱が無いと、簡単に結露します。
「ドレン配管」にはドレン水と一緒に汚れも流れていきます。
汚れが溜まるとドレン配管は詰まります。
できるだけ「短く」「シンプル」に施工しましょう!
「断熱ドレン」や専用のキットを使うと簡単な場合もあります。
ありがとうございました。